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    団地の女学生

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    会社で冷房直撃だったせいか、風邪気味の土曜日。
    さすがに飲みに行かなかった。
    読みかけの「サイケデリックレコードガイド」を読み終わった後、手を出したのが伏見憲明の「団地の女学生」。
    伏見憲明は小説を書くようになっていたんですね。

    2編収録されていて、表題の「団地の女学生」は団地に一人住まいの84歳の老女が主人公。
    いつも変わらぬ日々を送る中、昔の知人から怪訝な電話が入ったのを機に、一度実家の墓参りに行こうと思い立ち出かけるお話。
    橋本治の「巡礼」を読んだ時にも思ったけど、戦後以来の資本主義的な価値観が爛熟している今、戦前を知っている人の話をもっと聞いた方がいいんじゃないかと考えた。
    タイトルの「女学生」は、つまり主人公の老女がいまだに女学校時代に培った価値観を引きずっているということ。
    その主人公の対極として、ミノちゃんという40歳なのに何をやって生活しているかわからない独身男性がでてくるんだけど、実はゲイだった、と。現実のゲイの世界のことが書かれているのですが、これは吉本ばななが記号として出すゲイとは違ってリアル。なぜって著者の伏見憲明自身がゲイだから。

    もう一編の「爪を噛む女」は、学生の頃は音楽の才能にあふれていた主人公美弥が、37歳で結婚もせず、生まれ育った団地に住みながら介護のバイトをしながら変わらぬ毎日を送っている。
    ある日、学生の頃一緒にバンドをやっていた都から電話が入り、会うことになる。
    その都は20歳そこそこでボーカリストとしてデビューし、100万枚を売るアーティストになっていて、美弥もそのことは知っているし、この10何年というもの都を妬んで生きてきていた、というきつい話。
    学生時代は主導権を握っていた美弥が都に合うと卑屈になってしまう。
    美弥は自宅で「ミーヤちゃん」と呼ばれているが、都は芸名を「Miiya」としているのも癇に障る。
    アーティストとしては落ち目の都にアドバイスする振りをして足を引っ張ろうとする美弥だけど、美弥の考える以上の行動をする都に驚かされっぱなしで自分のちっぽけさを実感させられるだけ。
    自我の狭い世界に心を乱される都は、やはり学生時代の価値観を持ったまま37歳になっている、というのも「団地の女学生」と共通したテーマ。
    内面的なドロドロ度合いの強い一編ですが、描写が具体的で面白い。

    なんて思ったのですが、今、伏見憲明がゲイとカミングアウトしているかネットで確認したら、プロフィールに「中学がNokkoと同じ」という一文が…
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