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    地球の上でビザもなく

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    作家として三島賞も受賞している映画監督青山真治が映画をテーマに書いた最新刊。
    映画批評家をやっている主人公の友人映画監督が、ドキュメンタリーから出発して、初のフィクション映画がカンヌ映画祭に出品されるという栄光を浴びながら、徹底的な挫折を味わい、自殺するところから話は始まる。
    というと、主人公と映画監督のことが語られていくのかと思うし、「こころ」みたいな小説かなと思った。
    でも、本当の主役はある天才映画監督であり、テーマは今というこの世界で映画を撮ることの困難さだと思う。
    簡潔に物事を言いきるのは良くないことだ、ということも繰り返し語られているので、テーマとか軽々しく語ってはいけないのだけど。

    こうやって本の感想を書きとめていて気付くのは、自分が読む本の多くが「簡潔に物事を言いきるのは良くないことだ」といったテーマを扱っているということ。「もうちょっとでいいから考えてみよう」と言い換えてもいいかもしれない。
    ネットで何でも簡単に調べられるし、自分の意見を発信しやすい時代だからこそ、その流れに対抗しようという人の本を読んでいるのだと思う。

    80年代に台頭した映画監督が主役なので、規範となるべき諸先輩は70年代に活躍した、いわば政治的な作家ばかり。この時代の映画監督といったら避けては通れない道だが、日本映画界で最も神聖な時代と思っている人も多いので、青山真治の表現に文句を言ってくる人もいるんじゃないだろうか。この映画監督をモデルにしているんじゃないか、と言われないようにか、主役の映画監督と推定されそうな監督は実名が出ている。つまり、この人たちじゃないよ、ということなのだろう。
    「地球の上でビザもなく」この言葉もいい。誰が言った言葉で、誰伝いに知ったかということにも意味がある。
    書き出しからは想像できないところに話が進んでいく。
    いい作品です。
    ただ、最後に話をまとめようというのが気になった。たぶん、この3倍ぐらいに長さを引き伸ばしてもOKな気がする。その方がテーマも明確でなく、わけがわからない感は増したと思う。映画もあるからそんなことをしている暇がないのかもしれないけど。

    それと、表紙が田島昭宇なのも不思議。角川だから?このテーマでこの表紙だから山本直樹かと思ったんだけど。山本直樹っぽさを狙って書いているんなら最悪ですね。
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