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    古田徹也「このゲームにはゴールがない ひとの心の哲学」

    CATEGORYBook




    読むのに時間がかかった。
    本屋で目に入った古田徹也「このゲームにはゴールがない ひとの心の哲学」
    3歳になる娘が毎日弁当の箱を空にして帰ってくる。ふと今日の卵焼きの味はどうだったと尋ねると「海苔が噛みきれなくて嫌い」という「本音」を知ってしまう。
    他人の感じていることや考えていることがわかるのか、相手が本心を隠して偽りの態度を取っているのをどうやって判断するのか、そもそも他人は自分と同じように考えているのか。そういった懐疑論についてウィトゲンシュタインとウィトゲンシュタインの研究家スタンリー・カヴェルの論考を交えながら深掘りしていく。
    ポップなタイトルの割りに考えや言葉の定義を探っていくしっかりとした哲学書だった。
    議論の基準になるウィトゲンシュタインが言葉について徹底して考えた人なので自然と論考は細かくなる。
    カヴェルの論考やウィトゲンシュタインへの解釈が並行して語られるのが論考を一層ややこしくしている。他人が痛みを感じているかどうかをどう判断するかが例として挙げられるているのだけど、自分と他人の痛さの基準の違いや、痛いと言いながら痛いふりをしているのではないか、子供はどうやって痛いということを理解するのか、条件を変えて細かく追求していく。ウィトゲンシュタインにとって懐疑論は安易な発想であり、その安易な懐疑論に至る道を塞いでいく。
    後半はウィトゲンシュタインのいわゆる「言語ゲーム」に絞っているため比較的わかりやすい。
    この本の面白さは読書に時間をかけられる人にしか楽しめないかもしれない。
    京都の帰りの新幹線で読み始めたのだけど中盤の論考が細かくて何度も読み戻さないと理解できず、途中他の本も読み始めたりして結局読み終わるまで1ヶ月以上かかってしまった。
    それも読み終わったというだけでウィトゲンシュタインの著作も読まないと本当には理解できないと感じた。ウィトゲンシュタインも20年くらい前に2冊解説書を読んだだけでその時も本人の著作を読まなきゃと思いながら読みないできた。
    言語の本質については100年前に発表されたウィトゲンシュタインの著作が今の哲学の基準になっているのでいつかは読みなければ。
    しかし「言語ゲーム」も「ゲーム」というニュアンスでないというしウィトゲンシュタインも翻訳じゃなくて原著じゃないと理解できないのかもしれない。
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