二階堂尚『欲望という名の音楽 狂気と騒乱の世紀が生んだジャズ』
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二階堂尚『欲望という名の音楽 狂気と騒乱の世紀が生んだジャズ』
本屋に行くと音楽関係の棚は必ず見ていて気になる本はいろいろある。この本は著者名はジャズ関係で見かけたことがないけど帯を見ると前後日本のジャズについて触れているようで購入。
以下6章に分かれている(内容の抜粋で実際の章タイトルは違う)。
①戦後日本とジャズ
②戦後日本のドラッグとジャズの関わり、ジャズの語源
③クレイジーキャッツと美空ひばり
④アメリカのギャングとジャズの関係
⑤フランク・シナトラ
⑥ユダヤ人とジャズの関わり
面白そうでしょ。
冒頭からちぐさが保管しているVディスクの話題が出てくる。表紙の写真は戦後の横浜を舞台にした黒澤明監督の『天国と地獄』のシーン。これだけで面白そうだと思ったら読んでみるといいよ。
以下は補足
横浜の話題が多いと思ったら横浜ジャズ協会の理事がきっかけでウェブメディア「ARBAN」で連載が始まったそう。
連載掲載時はインタビュー形式だったのが途中からストーリー仕立てになったため単行本化にあたり書き直したとのこと。
48回の連載、しかも一部はインタビューをもとにしていることもあり多彩な話題が取り上げられている。
膨大な参照文献が挙げられていて軽い文章でなくジャズについて考察した文章が続くが、うまくまとめたジャズ小ネタの抜粋といった感じもする。ただジャズ自体だけのファンだったら扱わない視点が面白い。
インタビューには菊地成孔や石丸元章が参加しているし油井正一や小川隆夫の文章も引用されている。正直持論を語るタイプの人の文章も引用されているため書かれているのがすべて定説だとか正しいとは思わず読み物として楽しんだ方がいいと思う。
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