森永卓郎 「ザイム真理教」
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経済アナリスト森永卓郎の最新刊「ザイム真理教」
テレビに出演している有名コメンテーターなのに大手出版社から出版を断られたそうなので内容が気になって読んでみた。
財務省が40年に渡って掲げる「財務均衡主義」が浸透して国民も洗脳されているから「ザイム真理教」。
日本の財政は世界各国と比べると健全なのに財務均衡主義とそれに伴う増税が国民を苦しめているというのが著者の考えで主に2つの論点が語られている。
①財務均衡主義対MMT(現代貨幣理論)
②財源獲得のための増税と富裕層優遇の税制
①はマグロ経済からの視点。
よく国の借金が増えたと報道があるけどこれは賃借対照表の負債だけを言っていて資産との差額はもっと少なくなる。財務省としては国の借金が多いから増税への流れを作るために意図的に借金が多いように伝えているのだろう。
MMTは目標インフレ率を超えるまで国債を発行するなどもっと財政支出を増やしていいという考えだ。
MMTはれいわ新選組の山本太郎がよく口にしている、と聞くと怪しく感じるかも。
経済学に詳しいわけじゃないけどいろいろ読んできてMMTは「タガの外れたポール・クルーグマン」みたいだなという印象を持っている。明確な基準がないから「ザイム真理教」と同じくMMTも理論というより信仰に近い。
なのでMMTを持ち出すのはいい手ではない気がするがマグロ経済で財務均衡主義を守りすぎるのが悪いことはわかりやすく書いてある。
②の増税については各税がどのように上がっていったか、本当に増税が必要なのかを解説している。ありとあらゆる税金がどういう名目で上がってきたかまとめてあるのでわかりやすい。
著者が1番言いたいのは消費税を下げろということでこれも山本太郎と共通している。
読んでると今以上に増税が進んでいきそう。国からしたら予算を増やすのに増税が1番簡単な手だから。
増税以外に財源を確保する案や試算も書いてある。
出版を断られたのは財務省の意向に反する考えを述べているからか。財務省と新聞社のつながりは書いてあったけど出版社はどうなんだろう。出版元は三五館シンシャ。高齢者の労働日記が売れている新しい出版社だ。
著者の思い込みや思想が強いけど財務省の考え方、日本の財政の方針を知るには便利だった。
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