草凪優「アンダーグラウンド・ガールズ」
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草凪優の「どうしようもない恋の唄」は映画化に合わせて増刷された文庫本が文庫新刊の棚に面出しされていた。それから本屋に行くと草凪優は2、3ヶ月に1回は新刊を出していてハイスペース。2005年から190冊も出しているらしい。
いかにも官能小説、という表紙とタイトルのものが多かったのだけど、珍しく気を引かれたのが「アンダーグラウンド・ガールズ」。
ソープランドがコロナ禍で廃業してソープ嬢が自分たちでデリヘルを始めたところトラブルに巻き込まれるという。
このあらすじを読んで50~60年代の日本映画やラス・メイヤーの映画みたいだなと思った。帯が「その男、凶暴につき」をもじっているのも映画をイメージさせる。2021年の2月に発売されたのだけどコロナが広がって1年で取り上げているのも早いなと思った。
買っておいたのをやっと読んでみたら「新感覚・官能サスペンス」とあるのに濡れ場はほとんど出てこない。400ページあるのに200ページを越えたところでやっと出てくるくらい。お店で口も聞くこともなかった5人が一緒に仕事をすることになりヤクザや大金の絡むVシネマ的なストーリーが続く。
草凪優は今1番人気の官能小説家だけど昔はシナリオライターをやっていたそう。本当は官能小説よりも映画の仕事をしたいのではないだろうか。
190冊も出しているし時に官能小説らしくない作品を出しても許される立場なのかもしれない。
「どうしようもない恋の唄」がルースターズの曲名だったのに続きこの本では唐突にソニック・ユースのTunicを携帯の着信音に使ってるというシーンが出てくる。ロックが好きなんだろうな。
バーで「ワルツ・フォー・デビイ」が流れてるシーンも出てくるがこれはベタだ。
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