水野しず 「親切人間論」
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最近買った本の中でも1番正体不明なもの。
水野しず初著書「親切人間論」
まず著者の水野しずが何をしている人かわからない。肩書はPOP思想家。ミスiD2015グランプリでコスプレもやってる。イラストも描いている。
何年か前にSNSで知ったのだけどめちゃくちゃ本を読んでいてnoteを読んだら自分なりの考えに沿った文章だった。
自分が本を読む理由は自分が経験できないことを知りたいというのが大きい。そのため他の人がものごとをどういうふうに捉えて考えているかにも興味がある。まあ読んだところでその人はこういうふうに考えているんだろうなと自分なりの考えで捉えるだけなのだけど。
それで初の著書が出たので読んでみた。
「親切人間論」とあるが街でスカウトに声をかけられたとか映画の上映中にうるさい人を注意したらいちゃもんをつけられたとか、自分が経験した嫌なことや不可解で理解できないことを好意的に「親切に」解釈する文章が多い。「わかりやすくは不在である」なんて言い回しをしたりもする。
誰かに似てるなと思ったら辛酸なめ子かな。2人とも美大卒だし集団に対する苦手意識とか共通してそう。
カバーの袖に書いてある文が内容をうまく伝えてある。
哲学書ともあるがものごとを根本的に考えるのだから哲学だ。
ただPOP思想家を名乗るだけあり難しい内容ではないし本が苦手な人へ本を読むポイントの解説もしている。

この本は装丁もすごい。
判型もB5変形の細長いもので本文は黒字と赤字が使われている。紙の色も4種類。
本文も一段、二段、三段とバラバラ。文字もいじっていたりする。構成と編集に手間と時間がかかっている。デザインは祖父江慎。
本人も紙の本がなくなるのが嫌だと書いているけどこの本は実際に手に取らないと楽しめない造りになっている。
最後に空白のページが7枚あるけど、これは自分の感想なり落書きなり書いてくださいということなのかな。
読んでいてミスタードーナツを食べたくなった。
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