高村友也「僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って」
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高村友也の「存在消滅」を読んでから著者名で検索したら本人のTwitterアカウントを見つけた。開いたら今住んでいる小屋の写真があった。想像してたより本格的、かつ自然と対峙するかのような屹然さがあり、前作「僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って」も読んでみた。
小屋に1人で住む、というと自然の世界が好きでとか週末用に、もしくは人と離れてといったイメージがある。
著者の場合は小さい頃から「死んだら永遠の無になる」という思いに取り憑かれて、純粋に1人で思索し社会と関わらずに生活できる方法として人里離れた森に自力で小屋を建てたという。
純粋、ハードコアな小屋生活だ。
自分で建てた小屋で生活するというとソローの「森の生活」が始祖にして高名。でもソローは癒しを求めて期限も意識しながらの小屋生活だった。鳥の鳴き声や、風雨の様を観察するナチュラリストの視点だ。
本著には自然への憧れや恐怖みたいなものは書かれていない。小屋に住むのが目的でなくあくまで生活する手段だから。
大半はタイトル通り「僕はなぜ小屋で暮らすようになったか」が語られる。
最新刊「存在消滅」と同じく死の恐怖から逃れるために生きることについて突き詰めて考え続けた半生が綴られている。
なにしろ川沿いのダンボールハウス生活を経験してからの小屋生活だ。しかも小屋だけでなく河川敷に土地を買って別拠点も作ったりしている。
小屋生活に憧れてる人より社会と離れて暮らしたいという志向の人に向いている。
著者は小屋に関する本をあと2冊刊行している。
タイトルは「Bライフ-10万円で家を建てて生活する」と「スモールハウス-3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方」。近刊とは違いノマド的なノウハウ本みたいなタイトルだ。2冊とも文庫にもなってるからこういうタイトルの方が求めてる人が多いし売れるんだな。この2冊が単なるノウハウ本なのか、著者の思索が滲み出してるのか気になる。
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