高村友也「存在消滅 死の恐怖をめぐる哲学エッセイ」
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本屋で目について手に取った本。
高村友也著「存在消滅 死の恐怖をめぐる哲学エッセイ」
カバーのプロフィールを見ると東大の哲学科を出て山梨の小屋に住んでるとあり、ソローの「森の生活」みたいだなと思った。
「死の恐怖をめぐる」とあるけど一般的な恐怖というと死ぬのが怖い、苦しんで死にたくない、死んでみんなに忘れられるのが怖いといったところ。
著者は自分が永遠の無になるのが怖いという。これは哲学的だ。
死後の世界も何もなく永遠の無になるのが怖い、そのことにまつわるエッセイだ。
他の人との価値観の違いや小屋を出て町で生活してみたことなどいろいろ書いてあるけど永遠の無に対する恐怖はいつもそばにある。
これは死ではなく自我の問題のように感じる。タイトル通り自分という存在が永遠に消滅する恐怖。
僕は子供の頃、寝て次の日起きたら自分がまったく違う人間になってるかもなんて想像をしていた。もちろん前の日と同じなわけだけど。
死の恐怖というと脳死判定されて安楽死される時も意識があったら嫌だなとか、生化学的な不安や悩みの方が大きい。例えば心臓も脳波も止まったとして今まで生きてきた記憶が脳にあるままだったらその時何か感じたりするのだろうかとか。
逆にいうと今自分が自分として感じ考えて生きているのが不思議にも感じる。
死を考えるのは生きてる自分について考えることなんだなと思う。
小屋で生活するというのも純粋に自分だけで考えていたいからなのだろう。他人に影響されない自我を探してるから自分を見つけ出す前に存在が消え去るのを恐れている。
「ぼくはなぜ小屋で暮らすようになったか」という本も出してるようなので読んでみる。

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