ビル・エヴァンスと過ごした最期の18か月
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ジャズピアニスト、ビル・エヴァンスの最後の恋人が書いた回想録
「ビル・エヴァンスと過ごした最期の18か月」。
発売されてすぐ読もうと思いながら1年近く経ってからやっと読んだ。
著者ローリー・ヴァホーマンは住むところや職を転々としていた22歳の時にビル・エヴァンスに出会う。
ビル・エヴァンスというと繊細でリリカルなピアノと認識されているけど実際はその頃のミュージシャンらしくドラッグ漬けの生活を送っていた。コカインとヘロインの中毒でいつどこでもドラッグを探している。注射による感染症で体調が悪くなったり肌が化膿したりと酷い状態。
79年から80年にかけてのことだからエイズの前でフリーセックス時代。人間関係は滅茶苦茶だ。ビル・エヴァンスも離婚協議中。また実兄が自殺した直後で精神的にも不安定だったようで自殺しようとしたとかCIAに盗撮されてるとか口走ったりしている。結局は内臓がボロボロになり喀血して亡くなっている。
そんな状況で出会ったローリーによる回想なんだけど死後30年経った2010年に原著が発売されている。
原著のタイトルはThe Big Love、大いなる愛。ビルへの愛情をロマンチックに描きポエムも挿入される。本人としては人生を変える大きな出会いだったんだろうけど30年の間に思い出が美化されて悲惨な状態のビルを大きな愛で包み込む自分が好きという風に感じてしまう。
ビルが病院で亡くなった後も死体を見せてもらえなかったと書いてあるんだけど親族扱いされなかったってことじゃないかな。
そんなに厚くない本なんだけど翻訳が読みづらくて時間がかかった。純文学とかだと専門の翻訳家や大学教授が担当するけど音楽関係の本は音楽のことに詳しくて英語が話せる人が訳していたりする。ただ話すのと訳すのは違うし、女性が書いた文を男性が訳すと違和感が強い。この本も元音楽会社のディレクターが訳してる。ちなみにバッパーズのサックス。
もっとロマンチックな文章なら著者の立場にのめり込めたのかもしれない。
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