ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか?
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休みに入る前にこの本を読み始めていたのはフラグだったようだ。
「ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか?」。
NYの人類学者デヴィッド・グレーバーが2018年に発表した「ブルシット・ジョブ - クソどうでもいい仕事の理論」。2020年に岩波書店から翻訳が発売された際の翻訳者の1人が日本に内容を合わせながら解説をしたのがこの本だ。「ブルシット・ジョブ」を冠した本はいくつか出てきてるけど散々調べ物をした翻訳者が書いているという点でこの本が1番原著を重んじている。
「ブルシット・ジョブ」は無意味で不必要なはずなのに意味のある仕事であるかのように取り繕う仕事のこと。
例えば後で誰も見ない書類をファイリングするとか上司が忙しいと演出するために代わりにアポ取りする部下とか。
生産性を求められているはずなのに無意味な仕事で時間が埋まっていると感じる。その虚しさを読み解いている。
モラルやネオリベラリズム、資本主義の限界、ベーシック・インカムなどに話しが展開していくので興味のある人は原著に当たる前にまずこちらから読んでみるのがおすすめ。
以下は個人的な経験。
夏季休暇3日目にCovid-19の陽性反応が出た。この対応にブルシット・ジョブがつきまとっていた。
今の職場では毎日の体温と日々どこに立ち寄ったかコンビニやATMに至るまでプライベートの行動記録を書き残すことになっている。もう2年前から神奈川県はコロナの感染源については追跡不可としてこだわらなくなっている。実際今回もわからないで終わりだった。じゃあなんで会社がいつまでも行動記録をとっているかというと「会社で感染したことにされると困るから」。立ち寄った先が書いてあれば会社でクラスターが起きたことにならないからとのことだった。誰も感染源を問わないのにそういうことを続けているのは立派なブルシット・ジョブ。
さらに陽性と判明してからは上司に1日2回体温と体調の報告をしている。これが例えば急に熱が39度を越えたとして上司が助けてくれるのだろうか?
またコロナの疑いが出て市の電話相談窓口に電話したのだがこれも無意味だった。相談したところで窓口から医療機関には連絡は入れない。本人が「受診相談窓口から紹介を受けました」と医療機関に電話をすることになる。それって相談してないのに紹介されたって電話しても大丈夫ってことだ。
そして窓口から言われたのが、窓口が把握している医療機関数よりネットに出てる県の発熱外来一覧の方が多いから紹介したところが受け入れてくれなかったらそちらから当たってくれとのことだった。ならそもそも相談窓口に電話せず家の近くの病院をリストアップして電話した方が早いということだ。
コロナは症状ありだと発症後10日間療養期間を取らなきゃいけないんだけどうちの会社は産業医の面談が必要とか言ってきた。それが月曜だけだというので無意味に金曜と月曜も休みになり有給を6日も使うことになった。コロナ陽性は「使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しない」とのことなのでやはりコロナには罹らない方がいい。
今回夏季休暇中で軽症だったこともあり、抗原検査キットで陽性と判明した時点で市や医療機関、会社にも連絡せず自力で回復するのを待てば良かった。
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