日本の凋落をめぐる新書
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通勤時間は読みやすい文庫や新書を読んでいる。
5月に買った新書3冊がどれも日本の高齢化社会と経済や文化の凋落をたどる内容だった。
安田浩一「団地と移民」は単行本の新書化。団地に住むのは高齢者と外国人というのは知られているけどその実態や取り組みを見歩いたルポ。日本だけでなく外国人テロの頻発するパリの団地も取材している。
多国籍交流に取り組んでいる人たちも多いのだろうけどここでは語られない、交流に興味のない人の意見や話しも聞いてみたい。おそらく互いに避けてうまく住み分けができてるんだろうけど。
帯にデカデカとあるほどネトウヨなどの人種差別者のことが書いてなかった。
話題が多すぎて深掘りする前の入門書。
団地といえば新興宗教の信者が多いことについては触れられていなかった。
高橋源一郎「失われたTOKIOを求めて」は古希を越えた作家によるノスタルジーだ。
東京を歩きながら戦後の歴史や著者が過去に経験したことに思いを巡らせる。「動物園」を取り上げてるのは初期の作品から読んでると納得。
タイトルは当然プルーストにかけてある。
適菜収「ニッポンを蝕む全体主義」は全体主義や保守という言葉の定義を見直して、今の日本がいかに全体主義に蝕まれているかを照らし出す内容。ただ全体主義を理解していない人に読んでもらいたいのにそういう人は全体主義というタイトルに反応しないんじゃないかという恐れがある。
適菜収の本を読むのは『日本をダメにしたB層の研究』以来だけどこちらもB層の人は自分がB層だと意識してないから手に取らない気がする。
主にテレビを使ったマーケティングとプロパガンダで国民に日本はすごいと思わせながら利権を掠め取る自民や維新の動きには詳しいので選挙前の予習に便利。
ちょっと感情的な書き方は気になった。
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