ライオネル・ホワイト「気狂いピエロ」
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新潮文庫の新刊予定に「気狂いピエロ」が載っていて目を疑った。
ゴダールによる映画「気狂いピエロ」の原作、ライオネル・ホワイト「Obsespion」が初めて翻訳された。
なんでこのタイミングでと思ったら「気狂いピエロ」公開50周年と昨年亡くなった主演男優ジャン=ポール・ベルモンドねの追悼を兼ねて2kレストア版が公開されるのに合わせたらしい。
本が売れない時代に海外文学なんて翻訳点数は減り続けている。ゴダールも映画の神様みたいな扱いだったのがここ5年くらい急速に忘れ去られてる感がある。そんな中、手に取りやすい文庫で翻訳が出るのはいいことだ。でも売れるのかな…
表紙はコラージュアーティストのQ-TAによるコラージュ。カバーをめくると袖には映画の写真が使われてるから表紙も写真にすればいいのに。まあでも映画を知らない人にも目に留まるようにということなんだろう。
著者のライオネル・ホワイトはキューブリックの映画「現金に体を張れ」の原作も書いているそう。名作映画2作品の原作者だ。イギリスとフランスの映画監督が原作に使ったのがアメリカの通俗的な犯罪小説だというのは大戦後の文化はアメリカの影響が強い証だ。ただ2人はそのまま映画にするのではなく批評的に捉えて自分の映画にしている。
ちなみに「現金に体を張れ」はクエンティン・タランティーノが「レザボア・ドッグス」の参考にしている。
そういえば90年代にポリティカル・コレクトネスの流れで言葉狩りみたいになって「気狂いピエロ」も「ピエロ・ル・フ」というフランス語の原題を音読みにしたものに変えられていたんだけどいつから「気狂いピエロ」に戻ったんだろう。
ゴダールは他にも原作がある映画を撮っていて「男性女性」はモーパッサンの短編2つが原作と知り、気になっていながら手にしていないな。
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