早坂大輔「ぼくにはこれしかなかった。」
CATEGORYBook

盛岡市で小さな本屋「Book Nerd」を営む店主、早坂大輔による初の著書「ぼくにはこれしかなかった。」。
本屋で働いた経験がないのに本屋を始めると投稿したことでSNSで話題になり自分の目にも留まった。フォローはしてなかったけど昔の雑誌PopeyeとBrutusを集めた展示会をやってるとか、くどうれいんの本を発売するとか目にしていた。
それで以前出張でよく盛岡に行っていたこともあり、地方都市で本屋を開店するまでの苦労話しかなと軽い気持ちで読み始めたのだけど、自己の過去における判断の誤りや人間関係のこじれを見つめ直し、それでも自分のやりたいことを貫き通すという強い意志を持って書かれた本だった。
街でお店をやっている人としてそこまで曝け出していいのかと思うほどのことも書かれている。
巻末に「ぼくの50冊」と称して本が紹介されていて、それを見ると晶文社が出している自分の人生を生きるよう勧める本からの影響が強いようだ。「就職しないで生きるには」の本屋版といえる。特に才能や資格がない人が本屋に限らず何かを始めるなら読んでみることを勧める。ただ良薬は口に苦し。合わない人もいるだろう。
読者に「君」と呼びかけるのが引っかかっていたのだがサローヤンの「パパ・ユーア クレイジー」を意識しているようだ。ということは生まれたばかりの子への語りかけなんだろう。だからこそありのままを書き切ったということか。
前妻との離婚の下りは賛否なら否の方が多そうな気がする。

- 関連記事
-
- 2月後半に買った本 (2022/02/25)
- 早坂大輔「ぼくにはこれしかなかった。」 (2022/02/21)
- 木村依有子編「底にタッチするまでが私の時間」 (2022/02/18)