木村依有子編「底にタッチするまでが私の時間」
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新宿駅東口にあるビア&カフェ、ベルク。自然食よりの素材を活かした料理や飲み物を新宿とは思えない値段で提供している。
そのベルクが発行している壁新聞が「ベルク通信」。
そこに掲載された1994年から2006年までの記事から選り抜かれた文章をまとめたのが「底にタッチするまでが私の時間」。印象的なタイトルだ。
2021年11月に発売されながらも店頭か一部のネットショップでしか手に入らず、なかなか新宿に行けずやっと購入。
選者は食に関する文筆家の木村衣有子さん。「キムラ食堂のメニュー」を読んだことがある。
通勤電車往復20分でチビチビ読もうと思ったのだが、これはまとめて一気に読む本だと感じた。
店長副店長はじめ数名の文章が載っているのだけど飲食業の忙しい日々で考えていたことをさっと書いたという勢いをどの文からも感じた。簡潔にして濃密。
そしてお客さんが喜ぶにはどうしたらいいか、という視点がぶれない。示し合わせたわけじゃないからみんな同じ方向を見ているということなんだろう。
新宿の1飲食店だったベルクが全国的な知名度になったのは2007年以後家主ルミネとの立退問題が出てからだ。
この本にはそれ以前の記事がまとめられているけどスタッフのスタンスは今も昔も変わっていないように感じる。
新宿勤めをしてた時期は平日は余裕がなく休日出勤の時に立ち寄るくらい。最近は年に1回行けるかどうかという感じだ。近くにこんなお店があったらいいなと思うけど、1日1000人以上来店があって食にも飲み物にもこだわるお店なんてなかなかというかほぼありえない。

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