東風
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YMOのデビュー・アルバムにフランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダールの作品名にちなんだ曲が3つある。
Mad Pierrot(気狂いピエロ)、中国女、そして東風。
東風だけDVDも持ってたのにずっと見る気にならなかった。
他2作と違い東風は商業映画を離れてジガ・ヴェルトフ集団名義で闘争映画を作り始めた頃の作品だからだ。
商業映画として作られた中国女やワン・プラス
・ワンでさえ当時の政治状況や闘争用語にあふれていたのでそれ以上だとどうなるのかと不安だった。
その割りに作品紹介には政治的西部劇とか最も美しい一本などと書かれている。
で見てみたのだけど普通の映画ではないな。
1960年当時の階級闘争と映画史における階級闘争に関するセリフというよりナレーションが続くのに合わせて森や郊外の街の映像が切り替わっていく。
同じカットが何度も繰り返し使われたり、音声なしで出てきたりいわゆるモンタージュで構成されている。でも画面とセリフが連動してたりするので後年のモンタージュに比べればわかりやすい。

上の画像は造反有理を説くアンヌ・ヴィアゼムスキー。
ほぼずっとイタリアの緑豊かな森の風景が続くんだけどこの手のでゴダールだったらウィークエンドの方が美しいと思うな。
政治的西部劇というのは予算を確保するための方便だったんだろう。申し訳程度に馬に乗った人は出てくるし西部劇的な場面はある。
公開された1969年は世界的に政治の季節で日本も学生運動真っ只中。
いつも思うのだけど自分がこの時学生だったらまわりに良い顔してしまうタイプなので自己批判を迫られていただろうなと思う。
みんな仲間内で意見を言い合うだけじゃなくて考えの違う集団とちゃんと話し合って仲良くすればいいのに。
平和な時代に生まれてよかった。
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