大久保青志『フェスとデモを進化させる 「音楽に政治を持ち込むな」ってなんだ!?』
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ロッキング・オンの創刊メンバーで後に政治の世界に入ったと渋松対談に名前が出てた大久保青志。
初の著作『フェスとデモを進化させる 「音楽に政治を持ち込むな」ってなんだ!?』が4月に発売された。
読むのを先延ばししてたけどちょっと見てみたら冒頭に「2020年に環境省の役人が小泉進次郎をフジロックに出せないか打診してきた」とあって面白すぎるでしょとなって読み始めた。「音楽に政治を持ち込むな」どころか「政治が音楽を利用しようとしている」わけだから。
この人経歴がバラバラで学生運動→ロッキング・オン創刊、個人で郡山ワンステップフェスティバルに関わる→内田裕也マネージャー→ロッキング・オン復帰、個人でアトミック・カフェに関わる→土井たか子秘書→都議会議員→國弘正雄、保坂展人、辻元清美政策秘書歴任→保坂展人スタッフ→フェスやデモの仕切りレーベン企画と多様。
アトミック・カフェを80年代に立ち上げ、フジロックでの復活にも関わっていたことは全く知らなかった。80年代のアトミック・カフェはデビューしたばかりの尾崎豊がステージから飛び降りて骨折したというとあああれかと思い当たる人も多いんじゃないかな。
反原発や国会前抗議を見ていてこれだけのイベントの仕切りや音響設備の設置は誰がやってるんだろうと思っていたのもこの大久保青志が関わっていた。結果的にSEALDsのサポートもしていたとのこと。経歴はバラバラでも市民活動の裏方として尽力してきた人なのだ。
音楽とも関わっているからスティングが熱帯雨林保護に力を入れてた頃環境庁との面会も調整したそうだ。
なかでも内田裕也のマネージャー時代の話しはいちいち面白い。近田春夫の自伝もそうだったけどこれ本人が亡くなって話せるようになったんだろうな。
政策秘書時代のことも今は話せないことがありそうだ。
津田大介、フジロック主催スマッシュの日高社長との対談も他者の視点が入ってエピソードに広がりが出ている。
フェスとデモについてはタイトルにしてるのだからもっと深掘りしてほしかった。もう一冊出せる材料はあるんじゃないかな。
元ロッキング・オン編集者2名が編集に関わっているのも人とのつながりを大事にしてるんだろうと感じた。
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