宮崎伸治「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」
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イギリスの大学院を修了し出版翻訳家として生計を立てていく中で急な印税額の引き下げや出版中止の憂き目に遭い廃業するまでを書いた一冊。
仕事が早いのが売りで自己啓発系でものすごい数の翻訳を出してることからも能力の高い人なんだろう。
トラブルを面白おかしく書いてるエッセイかと思いきや、言葉の使い方で押し問答したり、粘着質で、プライドが高く、裁判至上主義、女性蔑視的な表現が散見されたりと100%著者の立場になれずなかなか読んでいて辛かった。当然出版社に問題があるんだけど交渉の仕方はあるんじゃないかと思わされる。
頭が良くて真面目な人だから問題が起きると裁判で公明正大に判断してもらおうと考えるんだろう。最後の最後に苦しい時は新約聖書を開くとあった。
結婚相談所で会った女性に初めてのデートで「そんな仕事ばっかりやってて、つまんなくないですか?」と言われて翻訳家という仕事をバカにされたと6ページも書き連ねている節がある。だけどそれは「一緒にいたいんでもっと会ってくれませんか?」ってことなんだけどそこがわからないから言葉でトラブルになるんじゃないかな。
自分の信じる正義を振りかざした結果、出版社とも疎遠になり心に傷を負い廃業へと至る。
翻訳家、ライターだけでなくフリーランスなら読んでおいて損はない。
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