デビッド・ボウイ最後のアルバム「★(ブラックスター)」
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ちょこちょこCDやレコードを買ってるけど、今月はデビッド・ボウイ最後のアルバム「★(ブラックスター)」ばかり聴いている。
ボウイのアルバムをこんなに繰り返し聞くのは初めてだ。
そもそもボウイの熱心なリスナーでもない。自分より5歳以上上の人が聞く音楽だと思ってた。
80年以降のアルバムは聴いたことがないし、20世紀の終わりにドラムンベースを取り入れたアルバムがダサ過ぎてそれ以降は試聴すらしてこなかった。
初めて聞いたリアルタイムでのボウイだが、今回のアルバムは単純なロックではない。
ジャズのビッグバンドや、そのバンドのメンバーたち中心にジャズミュージシャンがバックを務めている。
ロックやソウル、クラブミュージックなどのハイブリッドで、ちょっとジャンルは違うが、ディアンジェロなんかにも通じる音だ。
特にドラムは生マシーンビートと化していて、ライブで再現できるのかと不安になるぐらいだ。
大人NINとか、ガービッジ発展形みたいな感じもあるので、ロック感はある。
普通にシンガーソングライターとしてデビューしたボウイだけど、曲も言いし本人のルックスもいいのに最初はなかなか人気が出なかった。
これはたぶん、内面を語るような曲とルックスがあっていなかったんだと思う。
お前に言われてもな、という。イメージって大事だ。
それでジギー・スターダストというキャラを作って歌ったらブレイクした。
普通の人とは違う別の世界の人として評価されるようになった。
くしくも「地球に落ちて来た男」という映画に主演することになったのもはまり過ぎだった。
ボウイ自身は労働者階級の出身で、普通の人に共感されないのを悩んでたらしいが、アートという観点で見て大転換を成し遂げたわけだ。
今回の歌詞は、ブラックスターとして語る1曲目や、何度も生まれ変わる男が主人公の「ラザルス」など、外部から普通の人に語りかける形が多いんだけど、語りかける対象ににボウイ自身も入っているように感じる。
迫り来る死を語ると同時に、自身もそれを受け入れようとしている。
自分の思いや不安を吐き出すだけでなく、ちゃんと作品という形にしているのだからすごいとしか言いようがない。
ボウイは死が確認された直後に火葬されたという。
69歳の誕生日まで生き延び、ニューアルバムが発売されてから死を迎えるところも、すべてが完璧だった。
ただ、そういうことは抜きにしても「★(ブラックスター)」は聞き応えのあるいいアルバムなのでぜひ聞いてみてほしい。
それと、これは想像だけど、闘病が長引いたら次のアルバムを出せるように、ルーツに帰るようなもっとロックっぽい曲も用意してたんじゃないかなと思う。
でもボウイの性格を考えると、未発表曲は公表しないよう遺言とかに残していそうだ。
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