バロウズとウォーホルの対談本
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ウィリアム・バロウズとアンディ・ウォーホルの対談本、しかも山形浩生の翻訳!と本屋で見かけて驚いた本、ヴィクター・ボクリス著「バロウズ/ウォーホルテープ」。
アンディ・ウォーホルは言わずもがなポップアートの第一人者。
対するバロウズはアンダーグラウンドカルチャーの王者。
ジャック・ケルアックの「路上」という小説にも出てくるビートカルチャーの原点の一人です。
文章を切り貼りするカットアップという手法で描いた小説、「裸のランチ」が有名。
ミュージシャンにインスピレーションを与えるのか、スティーリー・ダンてバンド名は「裸のランチ」に出てくる大人のおもちゃから名付けられてるし、「ソフトマシーン」という小説もある。最晩期にはYMOの再結成アルバムにも参加してるし、ニルヴァーナのカート・コバーンとも録音をしている。
そして何より、ウィリアム・テルごっこをしていて妻を射殺したというエピソードが強烈。
保釈中にメキシコに逃げ、モロッコのタンジールに移住する。
そして時効が切れてからニューヨークに戻ってくるが、それからウォーホルとも会う機会ができたようだ。
その2名の対談集、という触れ込みだが、実は原著はアメリカではまだ出版されていない。
フランスや日本など、おそらくウォーホルやバロウズの評価が高い国で先行して翻訳されている。
そして肝心の対談も、対談自体の量は少なく、他の人の会話や状況説明が多く、1980年代という時代のせいもあり、バブリーなアート業界ぽい空回り感が漂っている。
海外に良くありそうなインタビュー記事だ。
帯にあるようにミック・ジャガーも出てくるけど、そもそも対談に参加するのを知らなかったとか言い出す始末。
タイトルに偽りありと言ってもよさそうな内容だった。
そして、読んでて、「あれ文章が飛んでる」と思ったページが2ページあって、都合4ページが入れ替わっていた。
バロウズだけにカットアップでわざとやってるのかと思ったよ。
サイトにお詫びと訂正が載ってたけどね。
これじゃ帯の「史上最低最悪の対談集」てコピーがネガティブな意味で合ってしまう。
インタビューのテープを元に日本で編集できたら違ったものになったんだろう。
ただ著者は自分に自信があるのか、テープ撮りなどしないでインタビューしてるんだよな。
華やかなアート業界を除いてみたい人には面白い本だと思う。
http://books.spaceshower.net/books/isbn-907435332
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