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近代主権国家の終焉 ― 「ネグリ、日本と向き合う」を読んで



アントニオ・ネグリとマイケル・ハートの共著、『叛逆』を買ったままだったのだが、2013年に値繰りが日本を訪れた際の記録が発売されてしまったので、先にそちらを読んだ。

幅広い内容を扱った興味深い内容だった。

1番刺激を受けたのは、1648年に30年戦争が終結した際に結ばれたヴェストファーレン条約が現代の国際法につながる起源で、ネグリの主張もそこを踏まえてのことだということ。
21世紀の世界を支配する行きすぎた経済主義は、既存の国家や国際法では抑えきれなくなっているというのがネグリの考えだと感じた。
17世紀から始まった近代主権国家がいよいよ終焉する時を迎えているんだなと改めて実感した。
日本なんて鎖国を解いてからたかだか130年ほど。そしてその大半はアメリカと原子力の影響を受けているんだな、とも。

第2次大戦でドイツの第3帝国、イタリアのファシスト政権、日本の大日本帝国が滅亡したことで、戦後の世界に残ったのはアメリカとソ連という2つの帝国。そしてその2つの陣営がお互いをけん制するのに使ったのが原子力だった。
抑止力として働いていたはずの原子力だが、アイゼンハワーが「平和のための原子力(アトムズ・フォー・ピース)」を訴えることで、逆に各国の研究が盛んになり、原子力を利用できる国家が増えたという皮肉。
アメリカは1979年のスリーマイル島、ソ連は1986年のチェルノブイリの事故を機に、両国は原子力の積極的な開発からは手を引いて行った。
ソ連は1991年に自滅し、アメリカも2001年の911とそれに続くイラク戦争、2008年のリーマンショックと、徐々に衰退している。

p175
『わたしたちはいま、さまざまな分野の政策がグローバルレベルで危機にある歴史の瞬間を生きているが、グローバルレベルの危機のあらゆる要素の大もとにある、「母なる危機」を同定することができるだろう。それはアメリカ帝国の漸次的衰退である』

衰退しているアメリカが、新たな利益確保のために東アジア諸国同士の反発をあおっている、その中で1番駒として使われているのが日本で、それは危険な状態だとネグリは指摘する。

そんな中、ネグリが見た希望は、アラブの春、オキュパイ運動、反原発運動など、リーダー不在の社会的運動が生まれつつあることだ。

p115の以下の文にも考えることが多かった。税負担が増える一方の日本から海外に逃げても仕方ないんだな、と。
『私たちはこの公的債務のおかげで運命共同体に結び合わされているのであり、誰もこの泥の船から降りることができません。一人ひとりの人間は、非貨幣的な生活領域を拡大させることによって市場のそとを目指すことができるかもしれません。それもしかし、強いられた税負担の一形態であることに変わりはない』

p179
『人間の労働によって、市民の政治意識によって、絶対的に断ち切ることのできない運命というものはない』
これも名文だけど、マルクス主義が強すぎて苦手な人も多そうだ。

『叛逆』も早いとこ読もう。




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